国際理解教育や多文化共生といったテーマは抽象的で、具体的に何をすればよいか悩むことも多いですよね。そんな方には、まず絵本を使ったアプローチから始めてみるのがおすすめです。

そこで今回は、年間300冊以上の絵本を読み、幼稚園教諭・小学校教諭免許をもっている教育者の視点から、
国際理解教育・多文化共生に関する絵本10冊を紹介します。
この記事を読んであなたもお気に入りの一冊と出会いましょう。
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目次
1.国際理解教育・多文化共生に関する絵本10選
①せかいいち うつくしい ぼくの村 小林 豊
平和だったこの国で、戦争がはじまりました。
1980年ごろにはじまった戦争は、その後、国内の意見がちがう民族どうしが
にくしみあう内戦に発展し、15年たったいまも、つづいています。
小林 豊「せかいいち うつくしい ぼくの村」より
1995年刊、小林豊さんによる物語です。アフガニスタンの村を舞台に、戦争の影がある日常の中で、子どもたちが前向きに生きる姿を描きます。
ある日主人公のヤモは、兄が戦争に行ったため、ロバとともに町へ果物を売りに行くことになります。美しい景色や街の人との交流を楽しみつつ、ヤモは、さくらんぼを全て売り切ることができました。その売上金を使って、ヤモは、子羊を買い村に帰ります。
美しい帰り道、とても希望に満ちた気持ちで歩いて行くヤモ。
しかし物語の最後には、予想もしない一文が待っています。それまでの穏やかな描写との対比が強烈な印象を与え、読む者の心に深く残ります。

この作品を初めて読んだ時、涙が止まりませんでした。
小学4年生の国語教科書にも掲載されていたこともある作品です。戦争とは何か?平和とは何か?について考えさせられる一冊です。
タイトルから内容を予想して、読み聞かせを始めるのもおすすめです。
②私はどこで生きていけばいいの? ローズマリー・マカーニー
長い長い旅をして、
長い長い時間しんぼうしつづけた人たちを
「こんにちは。ここで安心して暮らしてね」と、
笑顔でむかえてくれる人がいますように。
あなたもそのひとりで ありますように。
ローズマリー・マカーニー 「私はどこで生きていけばいいの?」より
本書は、様々な事情で、家を離れざるをえない人たちの絵本です。
新たな家を探し求める過酷な日々の中でも、前をむいて生きる子どもたちや家族の姿が描かれています。
写真絵本となっているので、子どもたちは文字だけでなく、実際の表情や暮らしの様子を目で見て理解することができます。

カナダの国連大使であるローズマリー・マカーニーによる作品です。
様々な事情で移動してきている人がいる現代の日本に対しても、重要なメッセージを届けてくれています。
③ことばメガネ アーサー・ビナード
ことばは、コミュニケーションのツールではあるが、
同時にレンズの役割も果たす。
20歳すぎてから「日本語メガネ」を得て、
そのおかげで世界がいっそうおもしろくなった。
アーサー・ビナード「ことばめがね」 絵本をつくりながら考えたこと より
放課後、いつものように商店街を歩いて帰る竜二。変わらない風景の中で、ふとメガネ屋さんの派手な旗に目が留まります。
「英語メガネ 本日かぎりおためし無料キャンペーン」
試しにそのメガネをかけると、世界が一変します。横断歩道は、しまうまのように見えるから「Zebra crossing」目玉焼きは、黄身が太陽のように見えるから「Sunnyside-up」。
英語話者の視点で日常が見える不思議な体験に、竜二は驚きと発見を重ねていきます。
英単語の成り立ちや意味を知りながら、ことばの面白さ、ことばを学ぶことの意義について考えさせられる一冊です。

本書『ことばメガネ』は、アメリカ・ミシガン州生まれの詩人、アーサー・ビナードさんによる一冊です。
大学を卒業後に来日したビナードさんは、日本語を学ぶために辞書を片手に近所の商店街を歩き回りました。その経験をもとに、本書を書いたそうです。
この本を読むと様々な「ことば」を学ぶのがとても楽しみになります。外国語の授業の導入で使ってもいいですね!
④ネルソン・マンデラ カディール・ネルソン作
南アフリカ政府は、アパルトヘイトとよばれる政策をとるようになった。
すべての国民を白人、カラードとアジア人、黒人に分ける政策だ。
少数の白人が政治や経済をにぎったうえ、
白人しか入れない浜辺や、公園や、劇場もできた。
黒人たちは、あらゆる権利をうばわれてしまった。
人々が反対しても、政府は耳をかさなかった。
カディール・ネルソン「ネルソン・マンデラ」 より
マンデラは、大都市ヨハネスブルグで差別の中に置かれ、無力な立場に追い込まれたアフリカ人たちと出会います。
彼は、この人びとを守るために生き、働くことを決心しました。アパルトヘイト撤廃を訴え、長い獄中生活を経て、南アフリカ共和国初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ。その信念と行動に貫かれた生涯を描いた一冊です。

人種差別という視点から、国際問題について考えられる絵本です。
ネルソン・マンデラの生涯が子どもでも分かりやすくまとめられています。
⑤世界のあいさつ 長 新太
いま、おじきをしてしまったけど、どうして、こんなことするんだろう。
かんがえてみれば、おかしいよね。
世界の人たちは、どんなふうに あいさつをしてるんだろう。
よし、しらべてみよう。
長 新太「世界のあいさつ」 より
世界には、驚くほど多様なあいさつがあります。「あいさつ」と一言でいっても、ふだんのあいさつ、目上の人に向けたあいさつ、特定の人だけが行うあいさつなど、使われる場面や意味はさまざまです。
その方法も実に個性的です。抱き合って相手のにおいをかぐ、舌をペロリと出す、うれしさのあまり手をふるわせて泣き出す――ほかの国の人から見ると不思議に感じられるあいさつがたくさん紹介されます。

マンガ風の楽しい絵とともに、世界の文化や人との関わり方を身近に感じられる一冊です。年齢帯が低くても分かりやすい内容となっています。
⑥わたしのくらし 世界のくらし マット・ラマス
この本を読んでくれるみなさんに、
ぼくらが互いに全く違うということを知ってもらいながら、
同時にこんなにも同じなんだとおどろいて欲しいのです。
マット・ラマス「わたしのくらし 世界のくらし」 より
イタリア、ウガンダ、ロシア、イラン、インド、ペルー、日本で暮らす7つの家族のある1日を、子どもの生活を中心として紹介する絵本です。
住んでいるところ、学校に来て行く服、朝ごはん、毎日の通学路、授業の様子、放課後など様々な視点から子どもたちの日常の共通点と違いについて描いています。

具体的な生活を比較できる絵本です。イラストも美しく、楽しみながら文化の違いを知ることができる絵本です。
⑦はが ぬけたら どうするの? セルビー・ビーラー
「ほら、みて!はが ぬけたよ!はが ぬけたよ!」
で・・・その は、どうするの?
せかいじゅうの こどもたちに きいてみた、
ぬけた はの はなし。
セルビー・ビーラー「はがぬけたらどうするの?」 より
世界中の人々は、乳歯が抜けた後にどうするのでしょうか?
著者が世界64の国と地域の人々に調査をしてまとめたのがこの絵本です。
国は違っても同じような行動をとっていたり、全く違ったり。乳歯が抜けた後の行動を通して「習慣」について考えられる本です。

歯が抜けるのは、子どもたちにとっても身近な話題だと思います。
どのくらいのパターンに分類できるのか考えてみても面白いと思います。
⑧せかいのひとびと ピーター・スピアー
ほらね わたしたち みんながみんな それぞれ
こんなに ちがっているって すてきでしょう?
ピーター・スピアー「せかいのひとびと」 より
世界には、本当にさまざまな人びとが暮らしていることを、多様な視点から伝えてくれる絵本です。
肌の色や目の違い、身につけている服、休みの日の過ごし方、住んでいる家、信じている宗教、使っている言葉――世界の人々のちがいを丁寧に描いています。
違いがあるからこそ世界は豊かであることに気づかせてくれる一冊です。

子どもも大人も、この一冊を読むことで、さまざまな文化について知ることができます。世界について知る第一歩におすすめの絵本です。
⑨きいてみよう!世界のことばでこんにちは ベン・ハンディコット
ヨーロッパの言語はおおまかに3つのグループに分けられ、
それぞれは世界でもっとも
広く使われている言葉です。
ベン・ハンディコット「きいてみよう!世界のことばでこんにちは」 より
世界で話されている130以上の言語のあいさつや自己紹介を紹介した絵本です。
大陸ごとにまとめられているので、地理的な位置関係も同時に学ぶことができます。
さらに、言語間の距離やその言語の歴史についても触れられており、子どもたちの言葉への興味や好奇心を引き出すきっかけになる一冊です。

専用ウェブサイトへいけば、100言語以上の発音が聞けます!
外国語の時間にも使えそうな絵本ですね。
⑩いっぽんの鉛筆のむこうに 谷川俊太郎
人間は鉛筆いっぽんですら自分ひとりではつくりだせない。
いまでは、どのうちのひきだしのなかにも
ころがっている鉛筆だが、そのいっぽんの鉛筆をつくるためには、
かぞえきれぬほど、おおぜいの人がちからをあわせている。
谷川俊太郎作「いっぽんの鉛筆のむこうに」 より
一本の鉛筆が私たちの手元に届くまでに、どれだけ多くの人が関わっているかを描いた絵本です。
スリランカで黒鉛を採る人、アメリカで木を切り出す人、メキシコから日本へ船で荷物を運ぶ人、日本で鉛筆を作る人、そして販売する人……。
世界中の人びとが協力して、私たちの生活が成り立っていることを伝えてくれます。

一本の鉛筆から、世界の人々の繋がりについて考えられる絵本です。
2.まとめ
- せかいいちうつくしいぼくの村
- 私はどこで生きていけばいいの?
- ことばメガネ
- ネルソン・マンデラ
- 世界のあいさつ
- わたしのくらし世界のくらし
- はがぬけたらどうするの?
- せかいのひとびと
- きいてみよう!世界のことばでこんにちは
- いっぽんの鉛筆のむこうに
今回は、国際理解教育・多文化共生に関する絵本10選について紹介しました。みんさん気になる一冊は見つかりましたか?なお、記事作成にあたって読書工房「多文化に出会うブックガイド」も参考にさせていただきました。もしより多くの絵本を知りたい場合は、ぜひこちらの本もお読みいただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。









・国際理解教育って何から始めればいいんだろう?
・読み聞かせを通して、子どもたちと世界を繋げたい!
・道徳の「国際理解」の価値項目の時に、何か絵本を読よみたい!