このような疑問を抱えている方,多いのではないでしょうか。
読み聞かせはいいものと何となくは分かっていても,その効果を説明するとなると難しいですよね。
私も以前は,読み聞かせの効果について,うまく説明することができませんでした。
しかし,様々な論文や書籍を読んだり、子どもたちと関わっていったりする中で,
実感を伴って,読み聞かせの効果を感じる事ができました。
今回は,年間300冊以上の絵本を読み,幼稚園教諭・小学校教諭免許をもっている教育者Noahの視点から,
読み聞かせが子どもの成長に与える5つの効果を紹介します。
目次
1読み聞かせの効果とは?
読み聞かせには,様々な効果があると言われています。
その中で今回は5つのポイントを紹介します。
読み聞かせの効果を意識することは,本選ぶの基準をもつことに繋がります。
①社会性の向上
絵本には、登場人物が直面する課題や困難がよくあります。
子どもたちは登場人物の気持ちに共感し、自分だったらどうするか?
と考えることで,その場面を擬似体験し,社会性を身につける事ができます。
絵本の中には,メッセージ性が強いものたくさんありますよね。
国立青少年教育振興機構が平成27年に実施した
子どもの生活力に関する実態調査では,以下のような結果が出ています。
読書をすることが多い子どもほど
コミュニケーションスキルや礼儀・マナースキルが高い傾向にある。
子供の読書活動に関する現状と論点 文部科学省生涯学習政策局青少年教育課より
②読書への関心の育成
読み聞かせを通して,子どもたちは新しい本と出会う事ができます。
自分で読むことには抵抗があっても,人から読んでもらうのは好き!
という子どももいると思います。
楽しい絵本に出会うとそれをきっかけに,
読書を始めたり,読む本の幅が広がったりすることでしょう。
濱崎・黒田(2017)絵本の読み聞かせがその後の人生に及ぼす影響
という研究では,幼少期の読み聞かせ経験の効果として,
「本が好きになる。」ことに繋がったと答える学生が一番多かったことが報告されています。
子どもの時の経験が,その後の人生に大きく影響するんですね!
③論理的思考力•学力の向上
絵本には物語の起承転結があります。子供たちは、読み聞かせを聞きながら,
物語の展開や結末を予想し、論理的思考力を育成することができます。
教育社会学者荒木啓史(2014)によって実施された
絵本の読み聞かせが子供の学力を伸ばす全国学力・学習状況調査からの示唆によれば,
すべての教科・問題種別ではないものの、全国学力調査(国語•算数)において
幅広く絵本の読み聞かせによる効果を確認することができた。
という調査結果が出ています。
国語だけでなく,算数の結果にも優位性を示していることも興味深いですね。
④語彙力の向上
絵本には様々な言葉や表現が使われています。
絵本を読むことで、子供たちは新しい単語や表現を学ぶことができます。
雨越康子氏の幼児期における絵本の読み聞かせと認知能力との関連という研究では,
家庭での読み聞かせが高頻度である子どもは,語彙力が高い事が明らかになっています。
⑤子どもと大人の良好な関係を築く
「ほんとの読み聞かせしてますか」の著者である梅本氏は,以下のように述べています。
「読み聞かせという ことは,大人の子どもに対する愛情の行為であり,子どもにすれば,愛されていることの喜びを感じるひと時なのです。」
梅本妙子(1989) ほんとうの読み聞かせしていますか
読み聞かせとは,心理的側面からみると,一種の愛情表現と言えるそうです。
アメリカでベストセラーとなった「読み聞かせハンドブック』(The Read-Aloud Handbook)
教育心理学者であるジム・トレリースは以下のように述べています。
人間の声は、親が子供の精神状態を落ち着かせるための最も最強の道具
「読み聞かせハンドブック』(The Read-Aloud Handbook)ジム・トレリース
子どもに大人の声を聞かせる事が,心の安定につながるんですね
2.読み聞かせの5つの効果まとめ
「絵本の読み聞かせが子どもの成長に与える5つの効果」について
研究論文や書籍もとに紹介しました。
- 社会性の向上
- 読書への関心の育成
- 論理的思考力•学力の向上
- 語彙力の向上
- 子どもと大人の良好な関係を築く
今回紹介した5つ以外にも,読み聞かせの効果はたくさんあります。
ぜひ子育てや学校教育の中で,読み聞かせの時間を取り入れてみてください。
読み聞かせは大切!とよく聞くけどどのような効果があるのだろう?