新学期、新しいクラス、新しい出会い。
春はワクワクする季節ですが、子どもたちの中には不安を感じる子もいるかもしれません。
そんなときに、心をほぐしたり、クラスの仲間意識を深めたりする絵本の読み聞かせはとても効果的です。

そこで今回は,年間300冊以上の絵本を読み,幼稚園教諭・小学校教諭免許をもっている教育者の視点から,
新学期の学級開きで読みたい絵本10選を紹介します。
絵本を通じて心温まる時間を子どもたちと過ごしましょう。
Hataori Libraryでは、絵本や教育書をはじめとした様々な もの・こと・ひとを紹介していきます。公式LINEで更新通知をしますので、下記ボタンからぜひご登録をよろしくお願いします。
目次 [非表示]
1.新学期の学級開きで読みたい絵本10選
①はじまりの日 ボブ・ディラン
この広い世界が
君の目に 光りますように
背を まっすぐ伸ばして
いつでも勇気が 持てますように
毎日がきみの はじまりの日
今日も明日も 新しいきみの はじまりの日
ボブ・ディラン作 「はじまりの日」より
ボブ・ディランの名曲「Forever young」を翻訳家アーサー・ビナードが日本語に訳した絵本です。
ボブ・ディランはこの「Forever young」という曲を愛する息子のために書いたと言われています。

タイトルも新学期や学級開きにぴったりの作品です。
子どもたちとの一年間の想いを馳せながら,この本を読み聞かせすると心温まる「はじまりの日」を演出することができると思います。
学級開きと学級最後の日に、この本を読むことで、「はじまりの日」に込めた想いを振り返りながら、一年間の歩みを噛みしめる時間を作ることができます。
②手と手をつないで マーク・スペアリング
ちいさな その手を のばしてごらん
手と手を つなげば、ほーら あんしん。
ちいさな その手と わたしの この手を
つないで いっしょに でかけてみよう。
マーク・スペアリング「手と手をつないで」より
イギリスの絵本作家マーク・スペアリングの作品です。
この絵本は、大きなねずみと小さなねずみが手をつないで、一緒に季節の移り変わる景色を楽しむ物語です。
語りかけるような優しい言葉で紡がれ、「あるいていこう」「たのしもう」といった前向きなメッセージが散りばめられています。寒い冬や雨の日でも、「だいじょうぶ」「しんぱいないよ」と温かく安心感のある言葉が響く作品です。

「手と手をつなげば いつも しあわせ。」
この絵本の最後に綴られる温かな言葉。
季節の移り変わりの中で、寄り添いながら歩むふたりの姿が、仲間と共にさまざまな感情を分かち合いながら進んでいく大切さを教えてくれます。
一年の始まりに、優しさと安心感を届けてくれる一冊です。
③みんなのいえ たしろちさと
こんないえって せかいで ひとつ
まいにち まいにち すこしずつ
みんなでなおした みんなのいえ
ぼくらがいっしょにくらすいえ
そうさ!
こんないえって せかいでひとつ
たしろちさと作 「みんなのいえ」より
みんなに忘れられ、荒れ果てた家に旅人たちがやってきました。
彼らは一緒に暮らしながら、木を切って屋根を直し、畑を耕し、井戸を掘り、壁を修理し、椅子を作ります。こうして、世界にひとつだけの「みんなのいえ」がつくられていきます。

たくさんの旅人が集まり、協力しながら家をつくる過程は、まるでクラスをみんなで創り上げていくようです。一人ひとりができることを持ち寄り、助け合いながら形にしていく。クラスで大切にしていきたいことです。
この絵本を読んだ後に「どんなクラスをつくっていきたいか。」を考えてもいいですね!
④たくさんのドア アリスン・マギー
今日も明日も あなたはたくさんのドアを開けていく
その向こうに たくさんの新しいことが 待っている
あなたは どんな人になり
いったい どこへ 行くのだろう
どうやって 答えを見つけていくのだろう
アリスン・マギー作 「たくさんのドア」より

これからの人生の可能性を「たくさんのドア」という言葉で表現しています。
1年という新しいドアを開くのにピッタリの作品です。
著者はアメリカ人のベストセラー作家アリスン・マギー。
一年間には、楽しい日もあれば、風の吹く日、嵐の日もあるかもしれません。
どんな日々も共に乗り越えていこうという想いを届けることができる一冊です。
⑤しあわせのバケツ キャロル・マックラウド
世界中の誰もがもっている「しあわせのバケツ」
見えないけれど、みんなが持っている。
あなたは「しあわせのバケツ」を持っている。家族のみんなも
キャロル・マックラウド作 「しあわせのバケツ」より
アメリカでお母さんがが選ぶ絵本大賞第一位になった絵本です。
誰もが心の中に「見えない心のバケツ」を持っています。
それを幸せでいっぱいにするには、どうすればいいのでしょうか?
子どもたちが、学級でのあるべき姿について考えるきっかけとなる作品です。

実際にバケツの絵を用いながら、
学級の中でどのような行動をとると心のバケツがしあわせでいっぱいになるか
を考える活動を取り入れのもおすすめです。
特別活動や道徳などで用いることもできる絵本です。
⑥ともだちのかたち ダニエル・ソーサ
じぶんには ともだちがいないって おもってない?
でも ともだちの かたちって いろいろ。
ダニエル・ソーサ作 「ともだちのかたち」より
友だちの「かたち」はさまざま。
たった一度笑い合うだけでも、言葉がなくても、いつのまにか友だちになっていることも。まわりを見渡せば、これからたくさんの出会いが待っている。
そんなメッセージを届けてくれる絵本です。

「ともだち」と一言でいっても、その形は様々です。
新学期のはじまり「ともだちがいない」と悩んでいる子どもの心にも
寄り添うことができる一冊です。
⑦っぽい ピーター・レイノルズ
「あたし、このえがすき。」
マリソルがいちまいのえをゆびさした。
「ああ、かびんのえか。ぜんぜんにてないよね。」
しょんぼりつぶやくラモンにむかって、マリンルはおおきなこえで、こういった。
「ちゃんとかびんっぽいえだよ。かびんのきもちがするもん。」
ピーター・レイノルズ作 「っぽい」より
カナダの児童書作家であるピーター・レイノルズの作品です。
ラモンは絵を描くのが大好きな男の子。
しかし、兄にからかわれ、自信をなくしてしまいます。
そんな彼に、新たな視点をくれたのは妹のマリソル。
彼女はラモンの絵を「~っぽい(ish)」と表現し、完璧でなくても素敵だと伝えます。
たとえば「花っぽい(flower-ish)」「ツボっぽい(vase-ish)」などです。
その言葉に励まされ、ラモンは再び自由に描く楽しさを取り戻します。

新しい環境では、子どもたちは「うまくやらなきゃ」「完璧にしなきゃ」と
プレッシャーを感じることがあります。
この絵本は、「完璧じゃなくても大丈夫」「自分らしく表現することが大切」と伝えてくれるので、新学期の不安を和らげ、自信を持ってチャレンジする気持ちを育てるのにぴったりです。
⑧教室はまちがうところだ 蒔田普治
教室はまちがうところだ
みんなどうしどし手をあげて
まちがった意見を言おうじゃないか
まちがった答えを言おうじゃないか
蒔田普治作 「教室はまちがうところだ」より
小中学校教師を50年間務めた蒔田普治先生の作品。
人は間違えることを恐れがちですが、学びの場である教室は、本来「間違えてもいい場所」であるはずです。
挑戦し、試行錯誤しながら成長していこう!そんな想いを届けることができる一冊です。

長く親しまれてきたこの詩。
時を超えても大切なことを子どもにも大人にも伝えてくれます。
安心して発言できる雰囲気を新学期のはじまりの時期につくることで
良いスタートを切ることができます。
⑨だいじょうぶ だいじょうぶ いとうひろし
そんなおじいちゃんと 手を つないで
とことこ 歩いていると
ぼくのまわりは 魔法にでも かかったみたいに 広がっていくのでした。
でも新しい発見や 楽しい出会いが増えれば増えるだけ
困ったことや 怖いことにも
出会うようになりました。いとうひろし作 「だいじょうぶ だいじょうぶ」より
登場人物のぼくは、おじいちゃんとの散歩を通して、世界が広がり、その楽しさを覚えていきます。一方で新しいものやことと出会うのは、時に怖いことでもありました。
そんな時におじいちゃんは「だいじょうぶ だいじょうぶ」と僕を励ましてくれるのでした。

新学期には、たくさんの出会いがあります。それは喜ばしいことですが、不安も感じることがあります。この絵本はそんな気持ちに寄り添いながら、
「だいじょうぶ だいじょうぶ」と前向きなメッセージを伝えてくれます。
⑩よかったねネッドくん シャーリップ
でもたいへん!
ひこうきが とちゅうでばくはつ!よかった!
ひこうきにパラシュートがあって。でもたいへん!
パラシュートに穴が空いていた!
シャーリップ作 「よかったね ネッドくん」より
びっくりパーティに招待されたネッドくん。
しかし、ネッドくんの前には次々と困難な出来事が立ちはだかります。
不運と幸運が交互に訪れ、スリリングな展開が続きます。
英語と日本語の両言語で書かれています。

学校生活では、嫌なことも良いこともおこります。
どんな状況でも視点を変えて、受け取り方を変えて「よかったね!」と
思えるようにしていこう!そんなメッセージが込められた一冊です。
物語の展開がユニークなので、読み聞かせをすれば盛り上がることも間違いなしです。
2.まとめ
- はじまりの日
- 手と手をつないで
- みんなのいえ
- たくさんのドア
- しあわせのバケツ
- ともだちのかたち
- っぽい
- 教室はまちがうところだ
- だいじょうぶ だいじょうぶ
- よかったねネッドくん
今回は、新学期にぴったり!春の学級開きで読みたい心あたたまる絵本10選を紹介しました。
子どもと共有したい感情や想いを元に、絵本を選ぶことをおすすめします。
他におすすめの本があったら、ぜひ紹介していただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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